はじめに

2019年まで,解析実験ではmultiframeという構造解析ソフトウェアを用いた数値実験を行ってきましたが,現在日本の構造設計事務所で使用されている構造解析ソフトウェアとしてはシェアが低くさほど一般的ではないことや,構造系を志す学生以外にとってはこの先触ることがない可能性もあるので,もう少し学生全体の将来的なスキルアップにつながる試みが行えないかと考えていました。2020年にコロナ禍で出張が激減し旅費が例年よりかかっていないこともあり,その余剰金を利用してRhinocerosのライセンスを全員分確保しました。建築構造デザインの講義でもご紹介しましたが,Rhinocerosの1プラグインとして提供されているGrasshopperは,構造設計に限らず意匠や環境設備計画などの様々な場面において近年実務でヘビーユーズされているヴィジュアルプログラミングツールです。私の開発を進めているOpenSees for Grasshopperは,Grasshopper上で構造解析から計算書作成までが一気通貫で行えるツールとなっており,これを使えば構造解析の基礎とRhinoceros/Grasshopperのスキルを同時に叩き込むことができることから,本授業で使ってみることにしました。なお,この授業では構造解析プログラムの中身の理論には詳しく触れません。有限要素法と呼ばれる数値解析手法が用いられているのですが,その詳細については大学院の「構造解析学」の授業で実際にプログラムを作りながら理論を理解する授業を用意していますので,そちらに委ねることとし,この授業ではあくまで構造解析そのものに慣れてもらうことに主眼を置いています。

BootCampを使ったmacへのWindows11のインストール

2020年からRhinoceros/Grasshopperを取り入れ始めたのですが,ほとんどの学生のPCがmacであり,Rhinoceros/Grasshopperは基本的にWindowsでしかまともに動作しないソフトウェアであるため,多くの学生の混乱を招いてしまいました。今年も事前アンケートの結果では多くの学生のPCがmacであることが判明しています。残念ながら,Rhinoceros/Grasshopperはmac上ではバグが多く満足に動作しないのですが,BootCampを用いればmacにWindows10を入れることができ,macのPCであってもRhinoceros/Grasshopperを自由に利用することができます。本学はMicrosoftとOffice365の団体契約を交わしており,Windows10 Education を自由に利用する権利がありますので,ここではWindows10 Educationをmacに導入する手順をstepbystepで丁寧に解説していきたいと思います。なお,Windowsの学生はこの作業は不要ですので,ソフトウェアのインストールまで読み飛ばしてください。なお,有料になりますがParallelsを使う方法もあります。

事前に準備する必要があるもの

  1. 最低16GB以上の容量のあるUSBメモリー※

  2. Mac のストレージに 64 GB 以上の空き領域

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  3. macOS の最新のアップデート

インストールの手順

  1. Windows10インストール用のISOファイルを用意します。

  2. 最低16GB以上の容量のあるUSBメモリーを差し込みます。

  3. ユーティリティより,BootCampアシスタントを起動します。

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  4. 続ける→全てチェックが入った状態で続ける→と進み,ISOイメージに,1.でダウンロードしたISOファイルを指定し,USBの中にWindows10インストーラを作成します。この時USBが未フォーマットの状態だとフォーマットを要求されます。中身は完全に消去されますので,データが入っている場合は事前にバックアップを取っておきましょう。

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  5. 続いてパーティションの設定をします。以下では均等分割としていますが,macOSの空き容量に余裕がない場合は控えめで良いです。ただし,最低64GB以上はWindowsに割り当ててください。

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  6. 途中何度かパスワードを求められますが,ログインパスワードを入力してOKを繰り返せば,Windows10のセットアップ画面に遷移します。

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  7. ライセンス認証画面に移ったら,プロダクトキーがありませんをクリックします。するとインストールするオペレーティングシステムの選択画面になりますので,Windows 10 Education を選択し,次へをクリック,次の画面でどうしますにチェックを入れ,次へをクリックします(こちらに記載の通り,大学で団体契約しているライセンスはWindows 10 Educationです。他のシステムを選択してもインストール自体はできてしまいますが,ライセンス違反になる可能性がありますので注意してください)。

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  8. インストール場所を聞かれた場合は,BOOTCAMPを選んで次へをクリックしてください(PC環境によっては聞かれない場合もあるようです)。しばらくするとインストールが完了します。

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  9. Windows10の初期設定画面に移ります。基本的には次へをクリックして進んでいきます。2つ目のキーボードの追加はスキップ,パスワードも特に設定する必要がなければ空欄で良いでしょう。Cortanaはわずらわしいので,今は実行しないとしておいたほうが良いかもしれません。

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